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暮らしと水

犬・猫に水道水はOK?ペットの水分補給について獣医師が解説!
水分補給量の目安は?

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水は「生命の源」とよく表現されます。まさにそのとおりで、水がなければ生命維持はできません。実際、人間は全体の60%が水分でできていると言われます。
犬や猫でもほぼ同様で、生きていく上で水が及ぼす影響は非常に大きいことが想像できるでしょう。では、日々必要とされている水ですが、犬や猫によってどのような水が好ましいと言えるのでしょうか?ここでは、飲ませてよい水の種類、1日に必要とする飲水量、水を飲まないとき、逆に水を多く飲む時にはどのような問題が生じているのか解説します。

ペット(犬・猫)に飲ませる水はどう選ぶ?

ヒトの栄養学では、体に必要な栄養素は5つあります。
それは、「タンパク質」「脂質」「糖質(炭水化物)」「ビタミン」「ミネラル(無機質)」なのですが、実は犬や猫をはじめとした動物の栄養学上では、これら5つに加え「水」も必要な栄養素の一つとされています。

つまり、水自体も立派な栄養素として摂取すべきものとなっているのです。

犬や猫に水道水を与えても問題ない?

そんな水ですが、日本は水が他国と比べて豊富であり、またその質も良いものが容易に手に入ります。実際に水道の蛇口からきれいな水が出てきて、飲料水として使うことできます。

この一般的な水道水は、水道法と呼ばれる法律の水質基準に基づいて、現在51項目について数値基準を設けています。これらは主に「健康に関する項目」と「生活上支障関連項目」の2つに分けられ、すべての項目が基準値以下でなければ水道水として供してはならないことになっています。

そのため、一般的に飲用しても健康上問題が生じない品質となっているわけです。
犬や猫の場合でも、多くの水道水はそのまま飲み水として使用すること自体に大きなリスクが生じるものではありません。

「水道水はカルキ(塩素)のにおいがする」といわれることがありますが、塩素の残留濃度はWHO(世界保健機関)が定めた数値よりも低いため、健康に大きな影響は与えない程度です。ただし、中にはにおいに敏感な犬や猫だと気になるケースがあるかもしれません。

ペットの与える水は硬度にも気をつける

法律に基づいて水質に一定の基準はあるものの、地域によって水質にいくらかの差があります。水は、カルシウムやマグネシウムの含有量によって「硬水」と「軟水」に分けられます。

中でもミネラル分(カルシウムやマグネシウムなど)の多い硬水は、泌尿器に問題を生じる可能性があるかもしれません。カルシウムやミネラル分の多い水を長期間飲むと、個体差はありますが尿中に結石を生じるリスクが高くなります。そのため、水分の硬度には注目しておくとよいでしょう。

市販されているミネラルウォーターやウォーターサーバーのボトルには、水の硬度が記載されています。120mg/Lを境に硬水と軟水が区分されていますので、ペットに与えることを考慮する場合は、軟水を選択するとよいでしょう。

浄水器やウォーターサーバーの水は犬や猫に与えてもよい?

近年ではご家庭でおいしい水が飲みたいというニーズが高まり、浄水器やウォーターサーバーが普及しています。これらの水を犬や猫に飲み水として与えてよいかというと、結論として、軟水であれば問題ありません。
先ほど述べたとおり、水の硬度が高いものは犬や猫には積極的に与えないほうが無難です。

犬・猫が1日に飲むべき水分量の目安

犬や猫が1日に必要とする水の量はどれくらいなのでしょうか?

【犬の場合】飲水量の目安

諸説ありますが、犬は1kg台の超小型犬から70kgにもなる超大型犬までサイズが非常に多岐にわたるため、複雑な計算式に当てはめて算出します。

1日に必要な飲水量(ml)=体重0.75(kg)×132(ml)

この式について、「体重の[0.75乗]ってどう計算すればいいの?」と疑問に思うかもしれませんが、計算機があれば比較的簡単に算出できます。
まず、体重×体重×体重を計算します。その数値に√のボタンを2回押すと求めることができます。そして、これに132を掛ければOKです。

この計算式では体重の小さい場合ほど、体重1kg当たりの飲水量は多めになります。
例えば、体重2kgの犬の場合は、この計算式で算出すると222ml、20kgの場合は、1249mlとなります。
おうちのワンちゃんの体重を測定して、1日に必要な飲水量を計算してみてください。

【猫の場合】飲水量の目安

一方、猫の場合は犬ほど体重差が大きくないため、体重1kg当たりの必要な水分量が示されています。

猫が1日に必要な飲水量は、体重1kg当たりおよそ50~60ml程度とされています。体重4kgの猫の場合、約200mlということになります。

ペット(犬・猫)に水をあげるときの3つの注意点

飼っている犬や猫に水をあげる際には次の3つに注意しましょう。

飲水量は食餌に含まれている水分量も考慮する

さきほど、犬や猫では1日に必要な飲水量を体重から算出することができると説明しましたが、口にするものの内容によって、飲み水として与える量の調整が必要となるかもしれません。

例えば、犬や猫に与える食餌として代表的なものにドライフードとウェットフードがあります。
ドライフードは基本的に乾燥したカリカリ状態のフードですので、これらから得られる水分はそれほど多くありません。一方、缶詰やレトルトタイプに代表されるウェットフードは十分な水分がすでに含まれています。普段食べている食餌のタイプによって、飲み水以外からも水分を摂取しているのです。

参考までに、同じ体重で、ドライフードを主食として摂取している犬と、およそ70%の水分を含有している缶詰のフードを主食として摂取している犬とで1日に必要とされる飲み水の量を比較してみます。ウェットフードを主食とする犬は、ドライフードのみを食べている犬と比べるとおよそ6割程度の飲水量でもまかなえてしまう計算となります。

ペットに与える水の質

次に水の質についての注意点です。水はできるだけ新鮮なものを与えるようにしましょう。犬や猫に飲み水を与える場合、ボウル状の食器に水を入れておく方法や給水ボトルを使用することが多いでしょう。

ここで注意すべきなのが「水を入れたら、ずっとそのままにしていないか」ということです。
水道水であっても時間が経過すれば空気中に触れる機会が増えるため、雑菌や不純物が混入する要因となります。ミネラルウォーターなどの場合であれば、一層の注意を払う必要があります。
劣化した水を飲用すると消化器のトラブルの原因となります。飲み水はまめに交換しましょう。
ボトルタイプのものの場合、まだ水の残りがあるとそこに継ぎ足しをしたくなりがちですが、必ずすべての水を交換し、ボトル内を清潔に保つよう心がけましょう。

お風呂場や洗面所の水を飲もうとする場合

猫でよくみられる行動ですが、飲み水として置いてあるお皿やボトルでない水、例えばお風呂場や洗面所に溜まっている水や、蛇口から垂れる水を飲みに行く場合があります。
猫の習性で、餌場と水を飲む場が自然界では別な場所であることが多いというものに由来しているという説があります。
とはいえ、お風呂や洗面所の水が必ずしもきれいといえるわけではありません。猫の飲水を促す工夫として、循環式給水器の使用や食器を変えてみるのも方法です。

ペット(犬・猫)が水を飲まないときはどうすればいい?

犬や猫にとって栄養素とされている水。十分に摂取できなければ体調に悪影響を及ぼしてしまいます。
水を飲まない理由が、そもそも十分に水分摂取が足りている場合は、率先して水を飲む様子が見られないことがあります。この場合は健康上大きな問題はありません。

では、水を飲まない場合に病気の可能性を疑うケースにはどのようなものがあるでしょうか?

水を飲まない理由として病気の可能性を疑うケース

まず、季節によって飲水量は変わります。
夏は冬に比べると飲む水の量は多くなる傾向にあります。夏場では室内飼育であっても風通しが悪く日光を遮る場所がなければ、十分に水を飲むことができていないと熱中症を誘発することがありますので気をつけましょう。

そのほか、以下のような水を飲みたくても飲まないケースが考えられます。
・痛みや強いストレスを感じているから(痛みは内臓だけでなく筋肉や骨、関節の痛みなども含む)
・歯周病や口内炎などによって口が痛くて水を上手に飲めないから

これらによって水が十分に飲めなくなってしまうと、原因となっている問題の悪化につながることが想定されるほか、循環器や血圧のバランスを乱すなど別の部位に問題が拡大する可能性もあります。

普段よりも飲む水の量が少なく、それに加えて食欲や元気がなくなっている場合は、かかりつけの獣医師に相談し適切な対処を速やかに行いましょう。

飲水量が明らかに多いときも病気の可能性がある

反対に、普段と比べて明らかに飲む水の量が多い場合、これも病気が関連している可能性があります。慢性腎臓病や糖尿病などが代表的なものです。

慢性腎臓病は体重減少や食欲低下がみられ、その代わり水を飲む量が増え尿量も増加します。
糖尿病では、食欲と飲水量が増加しますが、徐々に体重減少がみられます。
犬の未避妊雌では、子宮蓄膿症の症状の一つに水をたくさん飲む様子が見られることがあります。

適正な飲水量を知っておくことで、これらの異常にいち早く気づくことができます。

新鮮で質の良い水を適量与えるようにしましょう

新鮮でおいしい水を飲むと心も体もリフレッシュする感覚になるのは人間だけでなく、犬や猫も同様です。新鮮で質の良い水を日頃から取り入れることは、栄養学的にも非常に重要で意味があることなのです。ただ、例えば飲み水に含まれるミネラル分が泌尿器のトラブルの原因になる可能性があることなど、人間とは違って犬や猫に与えるものだからこそ気を配りたい部分があります。犬や猫が欲しているときに必要十分な水が提供できること、そしてストレスなく自由に飲めるような環境を整えることが重要です。

体重やライフスタイル、年齢などによって食事で必要とするカロリーがある程度定まるのと同じように、適正な飲水量にも気を配りましょう。そうすれば犬や猫の健康状態を把握することにつながり、結果として病気の早期発見にも役立つこととなります。やはり水は私たち人間や犬、猫にとっても「命の源」となっているのですね。

執筆者プロフィール

増田 国充(獣医師)
ますだ動物クリニック院長、国際中獣医学院中国本校認定講師。2001年北里大学卒。名古屋市内、静岡県内の動物病院勤務後、2007年ますだ動物クリニック開院。診療に東洋医療科を加え、鍼灸や漢方による専門外来を実施。運動器疾患に対して鍼灸による治療を積極的に取り入れ、県内外から症例に対応する。また、鍼灸・漢方およびメディカルアロマでの学術発表や、一般向け講演等を行う。動物看護系専門学校の非常勤講師を行い、国家資格化される愛玩動物看護師の育成にも力を注ぐ。
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