暮らしと水
多くの人が不快に感じ悩まされている「肩こり」。肩こりが続くと、頭痛や不眠などさまざまな症状を引き起こす可能性があります。肩こりは生活習慣との関わりもあるため、悪化させないよう早めに対策・予防をはじめましょう。
肩こりの感じ方には個人差がありますが、後頭部・頚部(けいぶ)・肩周辺・背中といった広い範囲において、重苦しさや鈍痛、こわばり感、違和感が気になりつらい思いをします。
気づくと両肩をすくめて力が入ってしまい、意識をしても脱力することが難しいという人もいます。
疾患が関与している場合もありますが、多くは何かしらのストレスにさらされ続けることで交感神経(※)が優位になり、筋肉に過度な緊張がみられます。そして血流低下や低酸素状態になることで、痛みを感じやすくなり、肩こりの慢性化といった悪循環へつながる恐れがあります。
※交感神経……意識せず体をコントロールする働きのある自律神経。そのうちの「交感神経」は心身を緊張させ活動的にします。
頻繁に肩こりの症状を感じる人がいる一方で、肩こりにかかわる筋肉が過緊張を起こしていても気づかない人がいます。美容室でのマッサージで肩周りを押され、その硬さに初めて気づく方などさまざまです。
肩こりに気づかない人は「なぜか肩の関節が痛み出した」「最近、寝つきが悪くなって困っている」「頭が重くてぼ~っとする」など、肩こり以外の不調が表れることがあります。
どのようなことが肩こりの原因になるのか、見ていきましょう。
肩周りの筋肉は、頭や腕の保持、動作・姿勢の安定の働きをします。そのため、長時間のデスクワークや重労働、偏った筋力トレーニング・運動などの酷使から、肩こりへつながる場合があります。健康のために良かれと思い行った運動でも、内容が不適切であると逆に不調を招くことがあるのです。
同じ姿勢が続く・反復動作により特定の筋肉が酷使され交感神経が優位になり、筋肉の過緊張が起こります。その後、副交感神経により緊張が緩み血流の改善がみられると、肩こり悪化の予防になります。
しかし、日々の忙しさから軽い運動やストレッチ・気分転換といった心身のリラックスタイムをつくることが困難な場合もあるでしょう。そうなると、肩こりの悩みが解消できないまま過ごすようになってしまいます。
肩こりの原因は、不良姿勢や筋肉の酷使だけではありません。肩こりをこじらせる原因のひとつともいえるのが「精神的ストレス」です。精神的なストレスは解消が難しく、恐怖心や不安感が後頭部や首から肩周りの筋緊張を強めてしまいます。
頚椎の椎間板変性や椎間関節症、肩関節周囲炎といった、肩こりを伴う疾患もあります。また、メガネやコンタクトが合わず、パソコンを使用し続け自律神経の乱れをきたすことや、歯のかみ合わせが悪く咀嚼での左右差(食事の際、片側ばかりで噛むなど)が影響するケースもあるため、視力や癖のチェック・見直しが、肩こり緩和に役立つ場合もあります。
仕事中、冷房のきいた部屋から移動できず冷えてしまうといった「冷え」なども肩こりを改善しづらくさせる原因のひとつです。
肩こりは、筋肉への負荷や精神的ストレスによるものだけではなく、狭心症・高血圧・心筋梗塞・胆石症・膵炎・胸膜炎など、疾患に伴う場合もあります。肩こり以外の症状がある場合や肩こりが悪化する場合は、医療機関を受診しましょう。
肩こりが気になる方は、以下でご紹介する肩こり解消方法を試してみましょう。
ストレッチを1日に複数回行い(休憩時間・入浴後・就寝前など)、血流を促し筋肉のコリ感を和らげていきます。急激に伸ばすのではなく、ゆっくりと動かし心も落ち着けていきましょう。
肩こりがあるとき、頭を動かすと首痛を感じることがありますので、ここでは主に肩甲骨周りを刺激して、首への負担軽減にも役立つストレッチをご紹介します。
立ち姿勢でも座り姿勢でも行えるストレッチです。
1.顔と体は正面に向け、肘を90度に曲げます。
2.鼻から息を吸いながら、両肘を背中で合わせるように近づけていきます。このとき、左右の肩甲骨を寄せるように意識をして動かします。
1~3を1セットとして、5回繰り返します。
立ち姿勢で行います。
1.顔と体は正面に向け、肘は伸ばしたまま腕を後方で保持します。
1.顔と体は正面に向け、肘は伸ばしたまま腕を後方で保持します。
左右5回ずつ、3セット行います。
※コリの状態により、無理をしないよう腕を回す角度を変えてお試しください。
立ち姿勢でも座り姿勢でも行えます
1.顔と体は正面に向け、右手で右肩先を触れたまま、まずは、腕・肩の外側~肩甲骨内側を伸ばすイメージで、肘を内側へ動かし胸部へ近づけていきます。
2.そのまま肘で円を描くように、可能な限り大きく天井方向へ動かします。
3.さらに肘を体の外側・後方へ動かし、右肩甲骨を寄せながら右腕の付け根・胸部を伸ばすよう意識をして動かし続けます。
3回、肘で大きな円を描くように回したら、同様に左側も行いましょう。
肩こりがある人は、自律神経のバランスが乱れ、リラックスできず交感神経が優位になり緊張しがちです。すると血流が低下し、コリの悪化や体が冷えやすい状態になります。体を温めてリラックスを促すために、バスタイムを活用しましょう。
肩こり緩和には熱めのお湯ではなく、40度以下のぬるめのお湯に約10分間、肩まで浸かる方法が適しています。ご自身の落ち着く香りの入浴剤を使用することもリラックスに効果的です。
体が温まるとストレッチ効果も高まりますので、肩こりをほぐすストレッチをバスタイムに取り入れても良いでしょう。
私たちが健康に過ごすためにも「水」が欠かせません。実は、肩こりにもかかわる「筋肉」の働きにも水は大切です。
肩こりでは血流が滞りがちです。1日の必要量の水分補給を心がけることは、血液循環を通して栄養や酸素を巡らせ老廃物を流し、筋肉の機能回復へと役立ちます。
1日に2.5Lの水分が失われ、それを補うためには、食べ物以外から1日1.5Lの水分補給が必要であると言われています。
猛暑日や運動で汗を流したときは、水とともに塩飴や塩タブレットをとり、脱水症状対策も必要です。塩分濃度40~80mg/100ml、砂糖2g/100mlが目安です。
ミネラルバランスが崩れると、筋肉が過度に収縮しこむら返りが起こる場合があり、水分補給はその予防にもなります。
ミネラル豊富な天然水のウォーターサーバーがあれば、1日に必要な水分量や重要なミネラルが手軽にとれるので便利でしょう。
「肩こりがつらくて仕事に集中できない」などの状況を乗り切りたいときには、市販薬を検討する場合があるでしょう。肩こりの気になる部分に貼る「湿布」は種類が多く、選択に悩むかもしれません。中には鎮痛効果が強い薬剤が含まれる湿布もありますので、注意事項の確認を含め、購入時に薬剤師へ相談すると選択肢も絞りやすくなります。
また、飲み薬もあります。各種ビタミンなどを含む、疲労・コリの緩和に効果的なもの、鎮痛剤、漢方薬など、目的に応じて選びましょう。
肩こりは、心身へ何かしらの余計な負荷がかかっているサインです。「頭の中の休息と、こわばった筋肉をリラックスさせる時間が必要だ」と捉えて、肩こりを緩める時間をつくり、日常動作が楽に感じ快適に過ごせることを目指しましょう。
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